日本統合医療学会北海道支部会

2011年10月22日、日本統合医療学会北海道支部会にて「陽の時代から陰の時代への転換期 進化する操体」というタイトルで講義を行いました。

以下は抄録です


陽の時代から陰の時代への転換期  進化する操体

東京操体フォーラム  理事長 三浦寛 常任理事 畠山裕美
 
操体法には五つの特徴がある。
1.人体の構造を動かして診る、動診法を導入し、動きの感覚を重視している。
2.治すことまで関与せず、からだの自然治癒力を引き出している。
3.その為に他力的な刺激や、暴力的な力を与えず、快感度を伴う本人の自力の動きによって症状疾患の改善を図る。
4.運動系の歪みに着目し、症状疾患にとらわれない臨床を行っている。
5.常に生体のバランス制御を考えている。
 
からだにとって、最少エネルギーで最大の効果をもたらすかである。それが、からだが要求し、選択してくる「快適感覚」である。その快に従うということが、生体のバランス制御に繋がり、命の意志に従っているということである。その選択は、からだにとって正しい方向性なのである。
何故ボディが歪むのか。それは、環境を含む息食動想の四つの営み(自己最小限責任生活必須条件)の生命力学のバランスが関与しているからである。
 
昭和初期、操体の創始者、橋本敬三医師(1897年-1993年)は、正體術という骨格矯正法に出会った。これは体を楽な動きの可動極限にまで操り、瞬間急速脱力をもって骨格系の歪みを正すものであった。時を経て、橋本敬三医師独自の哲学が加わり、操体が誕生した。そして、橋本医師が85歳を迎えた時、「楽」への問いかけから「快」への診断と操法への移行が打ち出され、4年の歳月を経て弟子の一人によって体系化された。これを第2分析としている。この分析法は、一つ一つの動きに「快」をききわけていく動診と操法である。
 
しかし残念ながら一般はもとより、未だ多くの臨床家が快を認識しておらず、楽と快の混同、混乱が起きている状態にある。本日は前半を畠山による操体概論とし、後半を橋本敬三医師の直弟子であり、第2分析を体系化、確立させた三浦による実技とする。